歯周病
治療前
治療後
喫煙歴があり、歯周病が進んでいると言われると、「このまま歯周病が悪化するのではないか」と不安に感じる方もいます。歯周病治療では、歯石や細菌を取り除くだけでなく、喫煙などのリスク因子にも目を向けることが大切です。本症例では、約25年間、1日15本前後の喫煙歴がある患者さんに歯周病の状態と禁煙の必要性を説明し、歯周基本治療を開始しました。治療中に禁煙され、多くの部位はSRPのみで改善しました。局所的に残った右下第一大臼歯の垂直性骨欠損には歯周組織再生療法を行い、その後5年間の経過を確認しています。
Case治療経過

初診時はPCR72.3%、BOP39.3%で、4〜6mmの歯周ポケットを37.5%、7mm以上の歯周ポケットを9.5%に認めました。

右下第一大臼歯近心に垂直性骨吸収を認めるエックス線写真

歯周組織再生療法時

エムドゲイン及び骨補填材を填入時
初診時の歯周組織検査では、PCR72.3%、BOP39.3%で、4〜6mmの歯周ポケットが37.5%、7mm以上の深い歯周ポケットが9.5%認められました。患者さんには約25年間、1日15本前後の喫煙歴があったため、現在の歯周病の状態とともに、喫煙が歯周病の治療に影響するリスク因子であること、禁煙の必要性について説明しました。歯周基本治療を進める中で患者さん自身が禁煙され、その後も治療を継続しました。プラークコントロールの改善、SRPによる感染源の除去、禁煙を含めたリスクコントロールによって、右下第一大臼歯(46)以外の多くの部位は歯周基本治療のみで改善しました。一方、46近心には垂直性の骨吸収が認められたため、 禁煙ができ、口腔内の環境が改善した段階で歯周組織再生療法を行いました。
| 主訴 | 口臭が気になる。歯周病ではないか? |
|---|---|
| 治療内容 | 約25年間、1日15本前後の喫煙歴がある歯周病患者に対し、歯周病の状態と禁煙の必要性を説明したうえで歯周基本治療を開始しました。治療中に禁煙され、プラークコントロールの改善とSRPを行った結果、右下第一大臼歯(46)以外の多くの部位は歯周基本治療のみで改善しました。46近心に残った垂直性骨欠損に対しては、歯周組織再生療法を行いました。 |
| 患者様の年齢 | 55 |
| 患者様の性別 | 男性 |
| 患者様の居住地 | 東京都品川区 |
| 治療期間 | 1年8か月 |
| 治療費 | 総額 70万円(被せ物も含め) |
| 治療で得られるメリット | 歯周基本治療によって歯肉の炎症や歯周ポケットの改善を目指します。また、歯周基本治療後も垂直性骨欠損が残る部位では、状態に応じて歯周組織再生療法を行うことで、歯周組織の改善を目指せる場合があります。 今回は歯周組織再生療法を行い歯の寿命が延びたと考えています |
| 治療する際に起こるリスク・副作用 | 再生療法後に生じる歯肉の腫脹や疼痛 一時的な知覚過敏 |
Case歯周組織再生療法後5年の経過

再生療法後5年のエックス線写真では、治療部位にX線上の骨充填が認められ、経過を維持しています

5年経過時はPCR15.2%、BOP0%、3mm以下の歯周ポケットが92.3%となり、7mm以上の歯周ポケットは認められませんでした。
治療後5年の歯周組織検査では、PCRは初診時の72.3%から15.2%、BOPは39.3%から0%となりました。また、3mm以下の歯周ポケットが92.3%を占め、7mm以上の深い歯周ポケットは認められず、歯周組織は安定した状態を維持しています。歯周組織再生療法を行った右下第一大臼歯(46)近心についても、5年後のエックス線写真で治療部位にX線上の骨充填が認められています。
本症例では、歯周基本治療に加えて、患者さんが治療中に禁煙へ取り組んだことも重要なリスクコントロールの一つとなりました。右下第一大臼歯以外の多くの部位はSRPのみで改善し、局所的に残った骨欠損には再生療法を行うことで、5年間にわたり歯周ポケットの安定した状態を維持しています。喫煙されている方の歯周病治療では、口腔内の治療だけでなく、喫煙を含めたリスク因子について一緒に考えていくことも大切です。
医療法人社団TND 理事長/歯科医師
中山 亮平
日本歯周病学会 指導医・専門医
日本口腔インプラント学会 専門医
日本臨床歯周病学会 学会未来委員会 委員
- 2011年3月 東京歯科大学 歯学部卒業
- 2013年3月 慶應義塾大学医学部 歯科・口腔外科学教室 研修医 修了
- 2016年4月 慶應義塾大学医学部 歯科・口腔外科学教室 助教
- 2018年11月 戸越なかやま歯科 開業
- 2024年12月 医療法人社団TND 設立



