医院ブログ
Blog Detailドライマウスと虫歯の関係
こんにちは。
まだまだ厳しい暑さが続いていますが、皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。
今回は最近質問の多いドライマウス(口腔乾燥症)と、う蝕についてお話しさせていただきます。
ドライマウスとは、さまざまな原因により口の中の唾液が少なくなり乾燥する状態のことです。
最近、口がよく渇く、口の中がネバネバする、会話がしにくい、食べ物が飲みにくい、舌に痛みがある、口臭が気になるなどの症状でお悩みの方はいませんか?
このような症状は、ドライマウスかもしれません。
私たちは生まれながら唾液をもっており唾液には、さまざまな働きがあります。
口腔内の健康を維持する、食べ物を飲み込むのを助ける、口臭を予防する、歯についた食べ物のかすを洗い流したり、酸性になった口内を中性に戻すことで歯のカルシウムが溶けるのを防ぎ、歯の表面を修復する“再石灰化”という作用もあり、う蝕に対する最大の防御因子など重要な役割を担っています。
また殺菌作用や止血作用もあることがわかっています。
ドライマウスは何が原因で起こるのでしょうか?
原因は多様で、ストレス・緊張による交感神経の刺激で唾液の分泌量が少なくなることや、口で呼吸することで乾燥を感じる場合や、体内の水分量、薬剤の副作用、全身疾患(シェーグレン症候群、関節リウマチ、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病など)、放射線療法、口腔疾患などが挙げられます。
中でも、最も多いのは薬剤の副作用です。
高血圧の薬や向精神薬がその筆頭ですが、一般的な処方薬の80.5%が唾液減少の原因になるとされています。
また服用する薬剤の種類が多くなるほど、唾液減少の危険は増し、口の中が潤わずネバネバした感じになり、パンなどの乾いた食べ物が食べにくくなります。
口腔内が乾燥すると、唾液の清掃効果の低下から、プラーク(歯垢)がつきやすくなり、う蝕になるリスクが高まります。
ドライマウスの方は、う蝕予防をどうすればいいのか?
う蝕の予防はとても難しく、生活面では「飲食の回数をコントロール(ダラダラ食べをしない)」「酸性の飲食物を控える」ことをおすすめします。
ホームケアでは、唾液の作用が期待できないため、食後すぐの歯磨きが有効で、歯ブラシを口の中で動かすことによって唾液の分泌が促されることも報告されています。
唾液を少しでも出し口の中を快適にしたくなり、あめをなめる方が多く見受けられます。
しかし唾液の少ない状態で糖を長時間摂取すると歯面は脱灰が続き、ものすごいスピードでう蝕が進んでしまいます。
唾液の分泌を増やすためには、糖アルコール(キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど)を使用したあめやタブレット、ガムが効果的です。
ただし果汁パウダーや糖類・酸味量の入っていないものを選んでください。食べ過ぎはお腹がゆるくないやすいので注意が必要です。
すぐに磨けない時は、糖アルコールが入っているガムを噛むこともカリエスコントロールに有効です。
そしてフッ化物入り歯磨き粉にプラスして、寝る前のフッ化物含有のマウスウォッシュ(洗口液)でうがいもおすすめです。
ドライマウスでう蝕の発症を抑えるためには歯科医師・歯科衛生士による正確な歯磨き指導と、生活習慣指導が必要です。
お口の中の健康を保つことが、全身の健康へと繋がっていきますので、ご自身の口の中に関心を持って、気になることがあればいつでも相談してください。
お待ちしております。
歯科衛生士 林